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AE-Bio 東京大学農学生命科学研究科 生産環境生物学専攻
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課題名:形質転換ジャガイモを用いたスクロースリン酸
シンターゼ(SPS)の機能解明

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平成16年の形質転換ジャガイモの模擬的環境試験の見合わせ(6月4日追記)
東京大学大学院農学生命科学研究科附属農場内の
模擬的環境試験圃場で予定して いた形質転換ジャガイモの
模擬的環境試験につ いては、植え付け時期が過ぎたため
今年の試験は見合わせます。
今後の計画等に ついては農学生命科学研究科において
現在検討中であり、決定した段階で当ホームページ等でお知らせします。
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課題名:形質転換ジャガイモを用いたスクロースリン酸シンターゼ(SPS)の機能解明

実験実施機関:東京大学大学院農学生命科学研究科

実験責任者:東京大学大学院農学生命科学研究科生産環境生物学専攻作物学研究室
      教授 大杉立

実験場所:東京大学大学院農学生命科学研究科付属農場内機能生物開発育成システム
     模擬的環境試験圃場(〒188-0002西東京市緑町1−1−1)

実験期間:平成16年5月〜8月末(植え付けを5月12日(水)に予定)

実験の目的:

@ ジャガイモの収量向上におけるショ糖合成の重要性
 ジャガイモの収量や品質を向上させるためには、葉のショ糖合成能力を高め、炭水化物をショ糖として速やかに塊茎(イモ)に運び出す必要がある。現在までにトマト等を用いた研究において、スクロースリン酸シンターゼ(SPS)遺伝子を導入し酵素量を増加させることにより、ショ糖の合成速度が高められ収量や品質特性が向上することが報告されている。
 実験責任者はジャガイモの収量や品質を決定するメカニズムを解析するために、トウモロコシの遺伝子をジャガイモ(品種メークイン)に導入した組換え体を作出し、解析を行っている。これまでの温室における実験で、形質転換ジャガイモの塊茎収量が増大することを見出している。
 なお、本栽培実験で用いる遺伝子を導入したジャガイモは、遺伝子の機能や遺伝子導入がジャガイモの収量及び品質特性に及ぼす効果を解析する基礎的な研究を行うために開発した実験用植物である。

A 本実験の目的
 遺伝子を導入することによるジャガイモの収量や品質特性に及ぼす効果について、温室でポットを用いて解析を行ってきたが、収量の向上等について正確な情報を得るためには、野外の環境条件下で栽培し解析する必要がある。
 このため、形質転換ジャガイモを用いた栽培試験を行い、光合成速度、ショ糖代謝、収量、品質特性の解析を行うものである。

2.第1種使用実験に用いる植物

(1)植物の名称:トウモロコシスクロースリン酸シンターゼ(SPS)遺伝子を導入した組換えジャガイモ(メークイン)(以下、「形質転換ジャガイモ」という)

(2)第1種使用実験の大臣確認年月日等
 形質転換ジャガイモの模擬的環境試験圃場での栽培実験「形質転換ジャガイモを用いたスクロースリン酸シンターゼ(SPS)の機能解明」は、「組換えDNA実験指針」(平成14年1月31日文部科学省公示第5号)第1章第4の規定に基づき、科学技術・学術審査会生命倫理・安全部会組換えDNA技術等専門委員会において検討が行われ、平成15年10月1日付で文部科学大臣確認を得た

3.栽培実験の全体実施予定期間、栽培開始予定時期及び栽培終了予定時期

(1)全体実施予定期間
 平成16年5月12日から8月末まで、模擬的環境試験圃場で栽培を行う予定。

(2)栽培開始予定時期及び栽培終了予定時期等
 平成16年5月12日模擬的環境試験圃場に植え付け
 平成16年5月〜6月末導入した遺伝子発現の確認
 平成16年6月開花
 平成16年8月上旬収穫(その後、収量・品質に関する解析)

収穫までに、光合成速度の測定、生長解析を行うほか、適宜葉を収穫して遺伝子発現、酵素タンパク量、酵素活性、デンプン・糖含量等を測定する。

4.栽培実験を実施する区画の位置及び面積

(1) 栽培実験区画の位置 別紙参照

(2)第1種使用に用いる植物の栽培規模
 100m2の圃場を使用し、30個体の組換え植物および30個体の非組換え植物を栽培する。

5.同種栽培植物等との交雑防止措置に関する事項

(1)交雑防止措置の内容
 圃場とフェンスとの間に砂利敷を設け、距離を保つことにより花粉の飛散を防止できる。また形質転換ジャガイモの母本として使用したメークインは、花粉稔性が極めて低く通常の栽培条件下では着果しないことが知られている。これまでに実施してきた閉鎖系、非閉鎖系温室実験において、本遺伝子導入ジャガイモの花粉は稔性がないことを確認しているが、更に万全を期して、本栽培実験では花芽は開花前に摘み取ることとする。排水設備には貯留枡を設置し、微小植物体を不活化させる。

6.大学・農場内での収穫物、実験材料への混入防止措置

@ 実験材料を種子貯蔵庫から模擬的環境試験圃場まで搬出する際には、こぼれ落ちないよう箱に入れて搬出する。

A 中間管理作業、収穫作業に使用する機械は、使用後模擬的環境試験圃場内で洗浄する。

B 収穫物(葉)は液体窒素で凍結後、-80℃の冷凍庫で保管する。また、塊茎は、ポリ容器に収納し、分析を行う実験室内に設置された種子貯蔵庫に保管する。

C金網のフェンスを施し、また入口は常時施錠して盗難等に備える。

7.栽培実験終了後の第1種使用に用いた植物の処理方法

@ 収穫した塊茎は特性調査後、すべて分析を行う貯蔵庫にて保存する。

A 収穫しなかった葉、茎等の植物体地上部は、高圧滅菌処分する。

B 塊茎、葉、茎等を除去した後の屋外実験区画は、次年度まで他の作物は栽培せず、取り残した形質転換ジャガイモの芽が出たかどうかモニタリングを行い、芽が出た場合には直ちに抜き取り不活化処理を行う。

8.栽培実験に係る情報提供に関する事項

@ 説明会の計画  (説明会の案内はこちらをご覧下さい=> 第1回 第2回

 平成16年4月27日(火):栽培実験に係る説明会(模擬的環境試験圃場の見学を含む)
 
場所:〒188-0002西東京市緑町1−1−1
    東京大学大学院農学生命科学研究科附属農場講義室
 時間:14時00分から15時00分

A その他の情報提供
 栽培実験の実施状況については、東京大学大学院農学生命科学研究科附属農場ホームページ(http://www.fm.a.u-tokyo.ac.jp/)で情報提供を行う。

B 本栽培実験に係る連絡先
 東京大学大学院農学生命科学研究科生産環境生物学専攻作物学研究室
 メールアドレス:potato@ss.ab.a.u-tokyo.ac.jp
 FAX:03-5841-8048

(参考)
【これまでの開発・安全性評価の経緯】
平成6年4月アグロバクテリウム法による遺伝子導入実験開始
平成7年3月カナマイシンによる選抜とトウモロコシのSPS遺伝子の導入の確認
平成8年4月組換え当代植物のトウモロコシ由来のSPS遺伝子発現の確認
平成10年11月塊茎からの発芽個体を用いた導入したSPS遺伝子の遺伝の確認
平成11年11月閉鎖温室における環境に対する安全性評価実験
平成13年11月非閉鎖温室における環境に対する安全性評価実験
平成15年10月模擬的環境試験圃場における実験計画について文部科学大臣の確認を受ける。

(参考文献)
大杉立「シンク・ソースの分子機構から作物の収量向上を考える」化学と生物(2003)、41:366-373
Laporte et al., Sucrose-phosphate synthase activity and yield analysis of tomato plants transformed withmaize sucrose-phosphate synthase. Planta, (1997), 203: 253 - 259.
Micallef et al., Altered photosynthesis, flowering, and fruiting in transgenic tomato plants that have anincreased capacity for sucrose synthase. Planta, (1995), 196: 327 - 334.
Tobias et al., Elevated sucrose-phosphate synthase activity in source leaves of potato plants transformedwith the maize SPS gene. Plant Prod Sci, (1999), 2: 92 - 99.


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