先輩たちの声

最終更新 2024年1月 Last modified Jan. 2024

応用生物学専修から農林水産省に入ろう

応用生物学専修2009年卒業 農林水産省生産局農業環境対策課 松本真歩

 「食べものを生産し、食べる」という最も基本的な営みを、環境と調和した持続的なものにしたい―。そんな想いを駒場時代から抱いており、応用生物学専修に進学しました。修士課程では農場で自然農法の物質循環の研究をしましたが、将来は生産や流通のあり方を国家あるいは世界レベルの広い視野で見直す、スケールの大きな仕事がしたいと思い、農林水産省に入省しました。

 農林水産省では、法律や政治を専門とする事務系職員と農学系の専門知識を持つ技術系職員が協力して農政を動かしています。施策立案や基準作りの場面で、農業特有の技術的知識は不可欠で、技術系職員の役割は重要です。応用生物学専修で修了する内容は、まさに農林水産省の技術系職員に求められる知識そのもので、そのカリキュラムは公務員試験の「農学」にストレートに対応できます。農林水産省には学卒・修士卒を問わず、応用生物学専修の卒業生が大勢います。

 また、農林水産省では、所管の試験研究機関では、前述の技術系行政職員とは別に、研究者も採用しています。応用生物学専修から博士課程まで進んで、研究職で活躍するという選択肢もあります。

 このように、農林水産省では応用生物学専修で学んだことを活用できる場がたくさんあり、応用生物学専修の卒業生が毎年のように採用されていることを大変嬉しく思います。

 皆さんも、応用生物学専修から、中央官庁で農政立案を志してみませんか。


環境系シンクタンクが注目する農学部生の「現場力」

応用生物学専修2010年卒業 みずほ情報総研株式会社 大山祥平

 私は高校生の頃から興味のあった環境問題に対して、農学的なアプローチで解決に取り組みたいと考え、応用生物学専修に進学しました。学部では中国の塩類集積土壌における作物栽培を研究しましたが、卒業式直前の2011年3月に東日本大震災、そして福島原発事故が起こりました。そこで、修士課程からは福島県における稲の放射線被害に関する調査を行いました。実際の農家の水田をお借りした現地調査と研究室での栽培実験を繰り返し、稲の放射線量に影響する要因についての修士論文を纏めました。

 卒業後は、より広範な環境問題の解決に貢献したいと考え、シンクタンクの環境専門部署に就職しました。就職活動の面接時には、実際の現場に赴いて研究を行った経験を高く評価して頂くことができました。現在は新エネルギー(再エネ、水素等)に関する調査研究業務を行っていますが、調査は机上だけで完結するものではなく、常に顧客や有識者とのディスカッションを通じて最新の情報を仕入れることが求められます。このような場面で、修士時代に他専攻や他大学の先生方と協業した際の経験が活きています。

 これまで、環境系シンクタンクでは理学部や工学部の出身者がほとんどでしたが、近年では農学部出身者が増加傾向にあります。環境問題の解決のために、個人や組織レベルでの着実な取り組みが求められる今、農学部生が持つ「現場力」が、シンクタンク業界でも求められています。将来環境問題に携わりたいと考えている方、応用生物学専修への進学をその第一歩にしてみてはいかがでしょうか。


自然環境保全の現場から法律改正まで幅広く

緑地環境学専修1995年卒業 環境省生物多様性戦略推進室 山本麻衣

 1995年の環境庁(当時)入庁以降、主に国立公園や野生生物保全に関わってきました。これらの行政分野において、地域での取組が極めて重要です。これまで、安曇村(当時)、対馬市、那覇市等に赴任し、地域の方々と膝をつき合わせて議論しながら取組を進めました。お互いの主張をぶつけて、少しずつ理解を深め、成果が得られたときの喜びは何ものにも代えがたいものです。 

 また、環境省本省での経験で印象に残っているものとして、鳥獣保護管理法の改正があります。もともと鳥獣保護法と略していたように、基本的には鳥獣の保護が目的でした。しかし、シカやイノシシなどの一部の鳥獣が増加し、農林業のみならず、生物多様性や生活環境にも被害を及ぼしている現状に即して、鳥獣の捕獲を促進するための措置を導入しました。法律改正は、霞ヶ関において最もハードな業務の一つとされますが、明確な課題解決のための改正であり、達成感を感じました。

 環境省では、現場から国内制度改正、また、国際関係業務まで、幅広い仕事に関わることができます。